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ラフダイヤモンド(12)

ダイヤモンドの魅力:その3 美しさ 光の中の秘密

ダイヤモンドは等級(カラーグレード、クラリティグレード、カットグレード)がつけられる唯一の宝石です。その理由は、無色で、透明で、良いカットを等級付けすることによって、結晶の純粋性と稀少性を判定するからです。では、他の宝石にはない、このグレードは、なぜ必要なのでしょうか? それは、同時にそのことが、この「ダイヤモンドの美しさの指標」にもなっているからです。

ほとんどの宝石には色があり、稀少性や耐久性とともに、「美しい色の評価」が大切になります。それに対して、ダイヤモンドは無色透明が尊ばれます。光を反射し、屈折させ、分散させる。つまり、今ここにあふれる光を充分に取り込んで、「光が持つ秘密」を美の要素として私たちに届ける唯一の宝石だからです。

「キラッ キラッ」 ・ シンチレーション

硬いダイヤモンドの表面からは、三角やひし形の幾何学的な反射「ダイヤモンド光沢(金剛光沢)」の細かな鏡が作られ、この反射の力は、ガラスの4倍程です。したがって、カットグレードの、ポリッシュ(仕上げ)はこの美しさの大切な要素になり、一面一面整ったカットは高く評価されます。このキラメキは星の輝きにたとえられます。

「ギラッ ギラッ」 ・ ブリリアンシー

上から入る全角度の光は、中央に集約されて、強く明るい光の集合となって内部反射し「ダイヤモンドは白い輝き」と表現されるダイヤモンドならではの明るさの存在感を示してくれます。ダイヤモンドから出てくる象徴的な光は大きな広がりを持ち、白い輝きが清楚で、純潔な品位として、上品さと高級感を醸し出すものになります。

「メラッ メラッ」 ・ ディスパーション

ここにある光が、ダイヤモンドの中を通過して外に出てくるまでに、光のスペクトルに分解されて虹色の輝きをすることです。 紫、青、緑、黄、オレンジ、赤。太陽の下ではもちろん、特に太陽の強い光がなくなると、夜のろうそくの明かりなど揺れる光が多くなり、オレンジや赤などに近い輝きがにメラメラとあふれ出ます。中世の貴族社会では、夜会の光で妖艶に揺らめくこの輝きのことをファイヤー(炎)と呼び、ダイヤモンドだけの魅力として尊ばれたのです。
これはダイヤモンドが特に屈折率が高く、分散度が多いことが原因。透明な他の宝石(水晶、サファイヤなどの)をダイヤモンドとまったく同じにカットしても、このように美しい輝きは得られません。

3つの美の元は光。光に反射し、光を取り込み、光を変える力を持つダイヤモンド原石は、無色であればある程(カラーグレード)、純粋であればあるほど(クラリティグレード)、その価値が高まります。そして、カットの優秀さ(カットグレード)が加わり等級付け(グレーディング)が完成します。優秀なダイヤモンドには、これらはどれも欠くことのできない大切な要素になるのです。

ダイヤモンドが、「光の中の秘密を解き明かしその魅力を具体的な3つの美しさとして私たちにプレゼントしてくれる宝石」だからです。

筆者:吉田良(株式会社ヨシヨシ

ラフダイヤモンド 連載コラム

第13回 ローズカット オールドタイプ
第12回 ダイヤモンドの魅力:その3 美しさ 光の中の秘密
第11回 ダイヤモンドはどこで採れるのか?なぜ日本ではとれないのか
第10回 ダイヤモンドの魅力:その2 硬度 地球上でもっとも硬い石
第9回 ダイヤモンド原石とカット(形・シェープ)
第8回 ダイヤモンドの魅力:その1 希少性 その価値は世界共通
第7回 ダイヤモンドは宝石の中の王様
第6回 ダイヤモンド 美しさの秘密
第5回 ダイヤモンドは永遠の輝き
第4回 ダイヤモンドは地球の中から生まれた
第3回 ダイヤモンドの遥かなる旅
第2回 このダイヤモンドは、「唯一のもの」
第1回 ラフダイヤモンドについて

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