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ラフダイヤモンド(9)

ダイヤモンド原石とカット(形・シェープ)

金やプラチナは毎日、1g あたりの取引相場が出ます。同じようにダイヤモンドの原石も、1カラット(0.2g)、重さあたりの取引相場があるのです。しかしこれらには決定的な違いがあります。
それは、貴金属は精錬して溶かして、形を変えることができるものであるのに対し、ダイヤモンドは採掘された原石は加工が不可能、純度を高めることもできないし、溶かして形を変えることもできないということです。

つまり、ダイヤモンドは、そのままの形(ラフダイヤモンド・原石)を生かして、なるべく重さを失うことなく、価値を高めた宝石としての形(シェープ)を実現しなければならないのです。 傷や内包物の場所を避け、最大の大きさをとり、最も美しい輝きを実現するカット(研磨)。そのカットを施すには、人間の叡智、高度な技術と伝統が重要になります。

さまざまな原石は、次のように5種類に大別することができます。


ストーン

シェープ

クリーベッジ

マクレ

クラット

まず1番目にカットするときは、原石の形に合わせて、大きく取れる形を考えます。 たとえば、三角形で薄い「マクレ」は、ハートシェープやトライアングルシェープになります。また、「クラット」は、テーパードやバケットなどの薄くて四角なカットをし、中央の大きな宝石たちを彩る脇役としてのダイヤモンドになります。

さらに残った原石で2番目、次に3番目と、全てをむだにすることなく効率を考えて、より小さく様々な形のシェープ(形)が生まれます。

代表的なシェープには、ラウンドシェープ、エメラルドシェープ、ハートシェープ、ペアシェープ、マーキースシェープ、テーパードシェープがあります。


ラウンドシェープ

エメラルドシェープ

ハートシェープ

ペアシェープ

マーキースシェープ

テーパードシェープ

わずか数ミリの大きさでしか採掘されないダイヤモンド原石。そんな小さな世界には持って生まれた形があり、その形を最大に生かした研磨があり、その結果、初めて私たちが楽しめる美しい宝石、ダイヤモンドの世界が生まれるのです。

筆者:吉田良(株式会社ヨシヨシ

ラフダイヤモンド 連載コラム

第13回 ローズカット オールドタイプ
第12回 ダイヤモンドの魅力:その3 美しさ 光の中の秘密
第11回 ダイヤモンドはどこで採れるのか?なぜ日本ではとれないのか
第10回 ダイヤモンドの魅力:その2 硬度 地球上でもっとも硬い石
第9回 ダイヤモンド原石とカット(形・シェープ)
第8回 ダイヤモンドの魅力:その1 希少性 その価値は世界共通
第7回 ダイヤモンドは宝石の中の王様
第6回 ダイヤモンド 美しさの秘密
第5回 ダイヤモンドは永遠の輝き
第4回 ダイヤモンドは地球の中から生まれた
第3回 ダイヤモンドの遥かなる旅
第2回 このダイヤモンドは、「唯一のもの」
第1回 ラフダイヤモンドについて

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