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ラフダイヤモンド(7)

ダイヤモンドは宝石の中の王様

前回の物語では、ダイヤモンドの美しさの秘密についてお話しました。では、美しさの秘密はどのように生まれたのでしょうか。 古代インドから遠く、中東諸国を経由して、ギリシャやローマの地に陸路運ばれていた不思議の石アダマス。本の記述として登場したのは、古代ローマ(400年ころ)の博物 誌です。

しかし、それから1000年間、インドと西洋社会の間には強大な中東王国が勃興したため、ローマとインドの貿易は難しくなります。その後、海を経由して、現在のイタリアのベネチアや、ポルトガルのリスボン、ベルギーのブルージュなどの港町と貿易されるようになりました。ヨーロッパの地に運ばれていたダイヤモンド。インドの原石の形のままか、ダイヤモンド同士をこすり合わせて、表面を少し磨いたものでした。その価値は、まさに希少性と強い石、ほんの一部の王様たちのものであったようです。

最高級のダイヤモンドの輝き今から、約600年前、伝説によると、ブルージュにベルケムという宝石の研磨職人がいました。当時の宝石研磨工といえば、宝石にならないルビーなどの硬い石を砕いて研磨剤にし、他の宝石を磨くのが仕事でした。そして、最も美しい宝石として評価されたのは、「色の美しい珍しい石」でした。

さて、ベルケムは1475年ころ、ダイヤモンドを細かく砕いて、その粉でダイヤモンドを磨く方法を考案したと信じられています。 原石の形を生かした、ポイントカットやテーブルカット、ローズカットの登場です。ダイヤモンドは輝き始めました。

この発明は、テーブル面が窓となって、光の入り口と出口になる「内部反射をもたらす」画期的なものとなりました。ダイヤモンド特有の3つの輝きが生まれたのです。

  • 「ブリリアンシー」:白い輝きの反射
  • 「ファイヤー」:炎のような虹色のスペクトル
  • 「シンチレーション」:ひし形や三角形の表面キラメキ光沢

この輝きは、それまでのどんな宝石でも味わうことのできなかった、無色透明から生まれる画期的な光の競演です。この時、ダイヤモンドは、ルビーやサファイヤ、エメラルドの色の美しさを超越し、どんな宝石よりも強くて美しい、「宝石の中の王様」と言われるようになったのです。

筆者:吉田良(株式会社ヨシヨシ

ラフダイヤモンド 連載コラム

第13回 ローズカット オールドタイプ
第12回 ダイヤモンドの魅力:その3 美しさ 光の中の秘密
第11回 ダイヤモンドはどこで採れるのか?なぜ日本ではとれないのか
第10回 ダイヤモンドの魅力:その2 硬度 地球上でもっとも硬い石
第9回 ダイヤモンド原石とカット(形・シェープ)
第8回 ダイヤモンドの魅力:その1 希少性 その価値は世界共通
第7回 ダイヤモンドは宝石の中の王様
第6回 ダイヤモンド 美しさの秘密
第5回 ダイヤモンドは永遠の輝き
第4回 ダイヤモンドは地球の中から生まれた
第3回 ダイヤモンドの遥かなる旅
第2回 このダイヤモンドは、「唯一のもの」
第1回 ラフダイヤモンドについて

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